意見文や報告文などには、よく使われる型があります。意見文をどうしても書けないという学生さんのために、その型を用いて穴埋めシートを作ったことがあります。「意見文の書き方」に記したアウトラインを元にしました。
文章を書けないのは、自分の考えていることを表現する回路ができていないからだと思います。書ける人は、これまでにお手本となる文章をたくさん読んでいて、その回路ができあがっています。しかし読書経験があまりなかったり、読んでいても(自分の考えていることを上手く伝えるには、このように書けばいいのか……)などと意識することがなかったりすれば、この回路ができません。
文章表現を磨くためには読書が一番というのは、だいたい正しいと思いますが、例えば数ヶ月後にレポートを提出しないといけない大学1年生にそういうアドバイスをしても絶望されるだけです。
そこで、型を用意して埋めて書く練習をしてもらうわけです。
この練習は、書けない学生さんには好評なのですが、書ける学生さんにはいまひとつです。書ける学生さんはこういった型にはめられるのを嫌がる傾向があるからです。
しかし、型を使って書く練習は、文章に自信のある学生さんにも必要だと思います。これまでの読書を通じて自然にできた回路が、個性的すぎてふつうの読者にはわかりにくいところがあるかもしれません。一見つまらない、ふつうの型を使うことによって、粗削りの型を修正することができます。
論文などにはその分野の型があって、それに従わないと不利になりますし、文章を書く仕事でも、このように書いてほしいという型の指定があります。好きなように文章を書く機会は他に作れるのですから、指定される型に素直に自分を委ねてみるのも、わかりやすい文章を書くためには大切な練習だと思います。