文章表現の授業です

専門学校や大学で担当している「国語表現法」「日本語表現」などといった授業の覚え書き

意見文の書き方

意見文の課題は次のようなアウトラインを指定しています。

 

1事実

2意見

3理由や根拠

4意見に対する反論を想定して、それに反論

 

1について

学生さんの提出物ではいきなり意見から始めている意見文もよくありますが、2→1→2→3→4 という組み立てになって文章がもたつきがちですので、まずは簡単に、これから述べる意見が何に対するものかを書いてもらいます。ここではニュースを引用したり、状況を要約したりすることが多いです。あやふやなことがらに対して意見を述べても意味がないので、しっかり確認して事実を述べる文の形で書きます。

クラスで全員に同じことがらについて意見文を書いてもらうとき、もうわかってあるのだからとここを省略したがる学生さんもいますが、必ず書いてもらいます。問題となっていることがらをどうまとめて書くかで、書き手が理解しているかどうかがわかるからです。

 

2について

ここは文がせいぜい2つくらいの短さになりますが、1つの段落を作ります。当たり前ですが、意見文で一番大切なのは意見なので、短いですが1つの段落にして目立たせます。1の最後や3の始めに意見を書いているのも多いですが、ざっと流し読みをする際には埋もれてしまいますので、独立した段落にする方がいいと思います。

 

意見を書いたら一応意見文と言えるのかもしれませんが、読む人を説得しないといけないので理由や根拠を書きます(理由と根拠の違いについては別の機会に書く予定です)。

 

理由や根拠があればもういいと言えるのかもしれませんが、できれば自分の意見に対する反対意見を想定して、それに対する反論を書いておきます。そうすることであらかじめ反論を封じ込めておくことができます。また、自分の意見だけに凝り固まっているのではなく、他の意見も検討した上でこう考えるのだと、自分の視野の広さをアピールすることができます。

この段落は

  • なるほど〜かもしれない。しかし……
  • たしかに〜という問題は避けられない。だが……

などという文体で書くとよいです。

 

この構成で書くと400字は必要です。ニュースの記事などを引用するなら600字は必要になります。90分の授業で意見文を取り上げるときは、意見文の書き方と題材についてのブレーンストーミングが1時間、書く時間が30分でちょうどいい時間配分になります。アウトラインに添って何を書くかのメモを作ったあと、書くだけなら早い学生さんは15分以内で仕上げています。