文章表現の授業です

専門学校や大学で担当している「国語表現法」「日本語表現」などといった授業の覚え書き

書式についての考え方

文章表現の授業を担当していると、毎年必ず質問されることがあります。それは、

 横書きの場合、数字は1マスに1文字書くのか、それとも2文字書くのか?

というものです。

意外な質問でしょうか? 日常的に文章を書いている授業担当者は、このような疑問を持つことはあまりないと思います。しかし、学生さんには気になることのようです。

結論から言うと、提出先の指示に従うということになります。

提出先から書式についての指示がない場合は、担当者に質問するとよいでしょう。

 

文章は、それを読む人のために書くものです。読者が読みやすいように、読者が望む形にカスタマイズするというのが基本の考え方です。たとえ日本中の誰もが1マスに2つ数字を書いていたとしても、読者である提出先が1マスに1つと指定すれば、1マスに1つ書きます(念のために書いておきますが、指定があまりにも不合理だと思う場合、変えてもらうよう申し出るのがダメだということではありません)。

提出先の指示がなく、自由に書いてよいという場合もあります。この場合は、1マスに1つと2つのうちどちらかに決めたら、同じ文章の中で混在しないようにしてください。ちなみに、私個人は1マスに2つ派で、1桁の場合は見にくいので1つにしています。

1マスに2つというと、3桁はどうなりますかという質問が出ますが、2マスに3つの数字をバランスよく配置すればいいでしょう。パソコンを使って文章を書くときは、ソフトが自動的に配置してくれます。

 

数字の書き方以外にも、書式についての質問が来ます。横書きの場合、句読点は「、」「。」を使うのか、「,」「.」がいいのか。アルファベットも1マスに1文字か、それとも2文字か。アラビア数字を使うのか、漢字を使うのか。アラビア数字にする場合、「一人」も「1人」にするのか……などなど。

こういったことも、先に述べた数字の場合と同じ、読者が望む形にカスタマイズするというのが基本の考え方です。

 

提出先の指示がなく、質問の機会もない(本当はこういうのはよくないんですけど)場合はどうすればいいでしょうか。

閲覧する機会があれば、過去の提出物と同様に書くのがいいでしょう。例えば実習簿の場合、サンプルや先輩のものなどを見てみましょう。書式の確認以外にも勉強になりますね。

レポートの場合は、担当者の著書や論文の書式と揃えて書けば文句を言われないはずです。

 

付け足しておきますと、書式について指示をしているにもかかわらず守らない人がいます。たくさんの書類の中で書式が異なるものがあると、読むペースが乱されますし、余計な手間がかかることもあります。少なくともストレスになります。書式を守らないのは、自分は読む人にそういう負荷をかけてもいい人間なのだと言っているようなものです。指定された書式に疑問があれば質問し、必要があれば改めてもらいましょう。

 

『伝える伝わる文章表現』では、「第0課 横書きで日本語を書く」でこういった疑問に対する説明を書いています。 

独学もできるように解答例を作りましたので、夏休みの残り数日にぜひお使いください。