文章表現の授業です

専門学校や大学で担当している「国語表現法」「日本語表現」などといった授業の覚え書き

2014-01-01から1年間の記事一覧

わかりにくい文章のサンプルを集める その2

わかりにくい文章のせいでトラブルになっているサンプルの宝庫がネットショッピングです。ヤフオクなどで個人が出品している商品の説明だけでなく、チェックをしているであろうショップの説明文にもわかりにくいものが溢れています。 中には、大きさや重さを…

わかりにくい文章のサンプルを集める

文章表現の授業の教材を作るには、わかりにくい文章のサンプルが必要です。 選挙を控えたこの時期はまたとないチャンスです。論理的な文章を書くための基本的な技術である「事実を記述する」ということができていない文章が、立候補者のチラシなど*1に豊富に…

後期第4回 まともな情報の集め方

少し分量のある意見文を書くときは、自分の文章だけでなく資料を引用することが多くなります。引用する資料が意見を補強するものとして効果的に使われていればいいのですが、学生さんの提出物では残念なケースもよく見られます。 そこで適切な資料を見つけて…

レポートはどのくらい負担になるか

大学で初めてレポートを書いてみた1回生はどんな感想を持ったのだろう?――後期の第1回目の授業で、ごく簡単なアンケートをしました。レポートがどのくらい負担になっているのか、苦労しているのはどんな点かを知りたかったのです。アンケートの結果と学生さ…

後期第2・3回 意見文を書く

後期授業の開始後、台風でなんと連続2回も休講になってしまいました。課題を出してから半月も間隔が空いたというわけです。授業回数は補講で確保しますが、授業の流れの上では なんとも間の抜けたことになりました。 さて、後期でも前期同様に意見文を書きま…

後期第1回目 正確に伝える

後期の授業も始まりました。 夏休みを終えて、前期に学んだことをすっかり忘れてしまったという学生さんも少なくありません。第1回目の授業は夏休み前のことを思い出すことから始めます。実際に大学で初めてレポートを書いてみて、どういう点が大変だったか…

高校の国語科の「書く」授業

まともなレポートを書けない大学生が多い理由として、それまでの国語教育では感想文などの情緒的な文章しか書かされなかったからだということがよく言われますが、それに対する反論も同業者の間で耳にします。実際、高等学校学習指導要領解説を見てみると、 …

レポートの採点基準

ふだんの提出物は添削するだけですが、最終課題は点数で評価しなければなりません。他の先生と共同の授業でなければ、私は最終課題1つを100点満点で採点することにしています。始めの頃や数回目の授業の提出物がうまく書けなくても、最後の試験期間に一定の…

第11回 意見文の練習

第9回の説明文に続いて意見文を書く練習をします。説明文の授業と同様に、書く材料を整理し、アウトラインを作り、その型に従って書きます。型、型、型……前半で基礎的なことを押さえた後は、ひたすら型を使って書く練習です。 90分の授業1回で意見文を1つ仕…

第10回 インタビュー

大学の文章表現の授業ではインタビューについてとりあげます。第5回で引用について取り上げましたが、引用は参考文献だけでなく誰かから聞いた話からすることもあるからです。本格的なインタビューをするレベルまではいかなくても、取材に行くときの最低限の…

第9回 説明文の練習

知ってはいても正確な名前は知らないというものを説明文の課題に取り上げると、学生さんのノリがいいことが多いです。私はここ数年、春になると写真のものを集めています。ただで手に入り持ち運びも簡単で、説明文を書く練習にもってこいです。 ハンドアウト…

コピペレポートに関するぼやき

このブログを始めた理由の1つに、自分の授業を記録しておきたいからということがあります。文章表現の授業を持っている非常勤先の1つで、webで授業を配信するのはどうかという話が出ているのを知ったからです。映像や音声で記録されないからといっていい加減…

第8回 引用のマナー

文章表現の授業で身に付けるべき最も大切なことは、引用のマナーだと言えるでしょう。論理的な文章を書けるようにならなくても、サエない(あえてこう言いましょう)昨日の続きがあるだけですが、引用のマナーを守らずに著作権法に違反してしまったら、金銭的…

専門学校のコマ数について

文章表現の授業は、私が担当している大学では1年生の必修科目で、週1回1コマを通年で30回、専門学校では1年生の前期に7、8回行います。大学の15コマ授業ですと7、8回は折り返し地点ですが、専門学校では早くも最終回になります。文章表現の授業は「国語表現…

第7回 わかりやすい表現にする

いい文章を書けるようになるためには多くの本を読みなさいーー文章の書き方の本にはよくそういうことが書いてあります。これは真実だと思います。 例えば、ピアノを弾くことについて考えてみましょう。ピアノというのはバイオリンなどと違って、誰でも最初か…

第6回 要約 

要約の技術を身に付ける第6回は、医療系の専門学校で担任の先生から「ぜひ練習させてください」と言われて始めたものです。文章表現の授業で身に付けてほしい技術というのはどこの学校であれ共通していますが、専門学校の場合、大学の半期の更に半分ほどのコ…

第5回の補足

幸運なことに授業が予想外に盛り上がることが時々あります。第5回目の授業は、提出物の題材に血液型占いを取り上げました。始めに、各血液型別の「○型のあなたはこんな人」という文章を配布して読んでもらいます。クラスによっては「当たってるよね」などと…

第5回 資料を引用して書く

もう5回目の授業になりました。すでに段落分けとトピックセンテンスについて学びましたが、今日はそれに加えて、資料を1つ引用して書いてみます。 本題に入る前に第2回の事実を表す文について復習です。これは論理的な文章を書くための基礎の基礎であり、…

気になる表現

文章表現の授業にはもれなく提出物のチェックが付いてきます。私は現在最大で週300枚弱チェックしています。昨年度は350枚程でした。1枚平均2分くらいかかりますので、90分授業で50人の提出物を見るとなると、授業と同じ時間がかかります。正直言ってこれは…

第4回 トピックセンテンスを生かして書く 

ある程度長さのある文章を書くときには段落に分けます。その際、ただ何となく分けるのではなく、よりわかりやすい文章になるように分けましょう。そのためには1つの内容に1つの段落を作るとよいということを第3回で学びました。 第3回の課題「割り箸の使い方…

第2回補足 事実の記述の重要性

第2回の授業で取り上げる「事実と意見」の考え方は、少しわかりにくいようです。 ジョージ・ワシントンは米国の最も偉大な大統領であった. ジョージ・ワシントンは米国の初代の大統領であった. 『理科系の作文技術』などで木下是雄氏が引用しているアメリカ…

第3回 効果的に段落を分ける 

写真は第1回の授業で使用しているものの一部です。 第1・2回で絵葉書やイラストの説明文を書いていて気付くこと(気付いてほしいこと)の一つに、「詳しければいいというものではない」ということがあります。用意した紙にびっしりと説明を書いているのに、…

第2回 事実を記述する

下手でいい加減な絵ですみません(すごく恥ずかしい)。いつかこのブログの内容を本にできたらプロのイラストレーターさんにお願いしたいと思います。 第2回目の授業では、イラストを説明する文章を書いてもらいます。たとえば上のイラストのように、書くべ…

第1回 正確に伝える

第1回目の授業です。 文章表現の授業は1年生の春に行われることが多いです。学校生活が始まると、授業によってはすぐにレポートなどを書くことになりますので、文章表現の授業はこの時期に行うのが最も適当だと思います。 大学や専門学校に入学したばかりの…

はじめに

専門学校や大学で「国語表現法」「日本語表現」などといった、いわゆる文章表現の授業を担当しています。ちょうどいいテキストがなかなか見つからず、授業ではハンドアウトを配布してきました。実際に授業をしてみて効果的だった課題をまとめ、自分でテキスト…