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文章表現の授業です

専門学校や大学で担当している「国語表現法」「日本語表現」などといった授業の覚え書き

第6回 要約 

要約の技術を身に付ける第6回は、医療系の専門学校で担任の先生から「ぜひ練習させてください」と言われて始めたものです。文章表現の授業で身に付けてほしい技術というのはどこの学校であれ共通していますが、専門学校の場合、大学の半期の更に半分ほどのコマ数しかありませんので、何に重点を置くかは重要です。他の科目の実験や実習などで学生さんが提出したものを見せてもらったことがありますが、非常に参考になりました。できるだけその学校向けにカスタマイズしたいものです。

 

当初予定していなかった要約ですが、大学の授業でも取り上げることにしました。わざわざ取り上げなくてもよいと思っていたのですが、やってみると苦手な学生が非常に多いことがわかったからです。しかし、苦手では済まされません。

要約の技術を身に付けると、

  • 文章を書くとき、指定の字数で書けるようになる。
  • 文章の引用をする必要があるにも関わらず字数が足りないという場合、要約することで対応できる。

これはレポートなどを書くときにすぐに必要になる技術です。 

 

 

さて、要約が苦手な学生さんが多いと書きましたが、苦手というより、要約の意味がわかっていないといったほうがいいかもしれません。文章の内容が理解できていないのでまったく要約できないというケースよりも、むしろ次の2つのケースが目立ちます。

  1. 要約というより映画などの予告編のような文章になっている。
  2. 原文が用いている用語を意図的に変えている。原文にない表現を意図的に使っている。

1のケースは学会発表の要旨にも見ることがあります……。要約は予告ではないと理解してもらうしかありません。

2のケースについては、受験勉強の弊害といえそうです。複数の学生さんによると、高校や予備校で「原文を引用したり要約したりするときには、自分の言葉で置き換えられることが原文の内容を理解しているというアピールになる」と習ったそうです。これは一種の受験テクニックだとか。

しかし、引用の場合も同じですが、原文の著者の言葉や表現は尊重してできるだけそのまま用いるべきです。また、言葉や表現以外にも、文章の流れを変えるのも避けるべきです。わざわざそのようなことをする必要はありません。もし変えるとしたら、どうしても変えなければならないという理由が必要ですし、相当の覚悟をもって変えなければならないと思います。

上記の2つは要約ではないと理解してもらえば、あとは練習です。

 

実は、論理的な文章の要約は非常に簡単です。今までに文章表現の授業で身に付けた技術を用いるとよいのです。

  1. 段落分け:1つの段落に1つの内容が書かれていることがほとんど。
  2. トピックセンテンス:トピックセンテンスにその段落の内容が凝縮されている。
  3. 5W1H:どれだけ短く要約しても、伝えるべき情報は落とさずに。

新聞記事などを用意して、要約の練習をしましょう。新聞記事の場合、トピックセンテンスを繋げていくだけで要約文がほとんどできあがります。後はそれに手を加えていくだけです。

エッセイや文学的な文章になると、このように単純ではないので難しくなります。それについては別の回で。

 

*新聞記事などを授業で利用する際は、文化庁の「学校における教育活動と著作権」が参考になります。

http://www.bunka.go.jp/chosakuken/hakase/pdf/gakkou_chosakuken.pdf