わかりにくい文章について、なぜわかりにくいのか考え、わかりやすくなるように書き直す授業は、わかりやすい文章を書く上で効果があると実感しているのですが、教材を用意するのが意外と難しいです。
一昔前は学生さんの書いたものを取り上げてみんなで直すということもありましたが、現在は行っていません。当時ももちろん匿名にしたり一部加工したりして気を配っていましたが……。しかし自分や友人の書いたものをみんなで直すというのは、添削された自分の課題に目を通すよりずっと効果的なので、学生さんやクラスの雰囲気により可能なら行いたいところです。
わかりにくい文章(ここでは「事実を表す文」になっていない表現を含む文章を指します)のサンプルとして、これまでに当ブログでは
わかりにくい文章のサンプルを集める - 文章表現の授業です で選挙の立候補者のチラシを、
わかりにくい文章のサンプルを集める その2 - 文章表現の授業です でネットショッピングの文章を挙げました。
インターネット上にある、書き慣れていない人の文章や、プロに依頼していないと思われる広告のチラシなどは格好の教材です。こういったものを含め、身の回りでわかりにくい文章を見つけたら報告するという課題を出したこともあります。実物やコピー、プリントアウトしたもの、外出先で撮った写真などの形で提出してもらいました。
しかし自分の書いたものが「わかりにくい文章」の教材にされるのは誰にとってもあまりうれしくないことでしょうし、直されるのも大きなお世話でしょうから、取り扱いには注意が必要だと思います。できれば、こういった文章をアレンジして練習問題を作成するのが理想でしょう。
Amazon.co.jp: 「分かりやすい表現」の技術―意図を正しく伝えるための16のルール (ブルーバックス): 藤沢 晃治: 本
には、身の回りに溢れるわかりにくい表現をわかりやすく書き直した「改善例」が掲載されていて、参考になります。
身の回りにあるわかりにくい表現で、何度か授業で取り上げたものに郵便局の不在票があります。個人商店は避けますが、郵便局のように公的な機関のものなら教材として問題ないだろうと判断してのことです(一度学生さんの中に郵便局の関係者がいて気まずい思いをしたことがありました……)。これについてはわかりにくいと感じる人が多いようで、「郵便局 再配達 わかりにくい」で検索するとたくさんの記事がhitします。授業では
高齢者が「郵便局再配達依頼」が出来ないと泣いていたので検証してみた:Birth of Blues
を参考にしました。郵便局の不在票もマイナーチェンジしているので、私は授業用に最新のものを用意しています。