文章表現の授業です

専門学校や大学で担当している「国語表現法」「日本語表現」などといった授業の覚え書き

後期第4回 まともな情報の集め方

少し分量のある意見文を書くときは、自分の文章だけでなく資料を引用することが多くなります。引用する資料が意見を補強するものとして効果的に使われていればいいのですが、学生さんの提出物では残念なケースもよく見られます。

そこで適切な資料を見つけてくる練習を後期の意見文*1の課題にしています。粗々書いた意見文を添削の上いったん返却して、どのような資料が必要か自分で考えて見つけてもらうのですが、この授業の進め方がなかなか難しいので悩んでいます。

  1. 適切な資料を見つけることができた。
  2. 資料を探したが見つからなかった。
  3. 探すべき資料が何なのかわからない。

2の状況の学生さんの具体的な質問を汲み上げて対応したいのですが、遠慮がちな学生さんが多いクラスでは結果的に締め切り間際に質問が集中し満足いく対応ができないでいます。“ノリ”のいい学生さんの多いクラスはうまくいくのですが……

また、添削しているにも関わらず、3の学生さんも多く見られます。

 

数回を費やして資料を自分で見つけてもらうのは、まともな資料(情報)を集める技術が文章の引用だけでなく人生のあらゆる場面で必要なものだからです。就職に際して希望する職種について調べるとか、留学先の外国のことを調べるとか。

意見文の課題の1つを理系寄りの話題にしているのは、文系の学生さんが相手なので、理系の資料を探す能力を身に付けてほしいと思っているからです。たとえば何かの病気に罹ってしまったら、インターネットや書店・図書館の医学コーナーでその病気を調べることでしょう。インターネットの情報は玉石混淆ですし、書店や図書館の医学のコーナーには、たいてい西洋医学の本だけでなく、東洋医学や伝統医学、民間療法の本などが一緒に置かれています。トンデモ科学に引っかかることなく、確実に信頼できるものを探し出せる嗅覚を身に付けてほしいのです。大学を出てから一生病気にならない人はまずいないし、命にも関わるかもしれない問題ですからね。

というわけで、まともな理系の情報の集め方を説明するのに非常にいい教材が

usausa1975さんの 「ダメな科学」を見分けるための大まかな指針」のポスター - うさうさメモ です。usausa1975さん、ありがとうございます。

ポスターの項目のうち、5の推測表現については「事実を表す文」の練習で身に付いています(はずです)が、相関関係やら対照実験やら盲検試験やらは文系の学生さんには説明が必要でした(高校までで学んでいるはずなのですが……)。

*1:前期の授業で意見文を課題にしたときは引用する資料をこちらで用意しました。