文章表現の授業です

専門学校や大学で担当している「国語表現法」「日本語表現」などといった授業の覚え書き

レポートはどのくらい負担になるか

大学で初めてレポートを書いてみた1回生はどんな感想を持ったのだろう?――後期の第1回目の授業で、ごく簡単なアンケートをしました。レポートがどのくらい負担になっているのか、苦労しているのはどんな点かを知りたかったのです。アンケートの結果と学生さんと雑談した内容をまとめておきます。

 

1.前期にレポートを何本書きましたか

 2本…1名、2~3本…2名、3本…4名、4~5本…2名、5本…4名、7本…2名

既に忘却の彼方という学生さんも多く、回答があった分もはっきりした数字ではないですが、4~5本が多かったようです。

 

2.レポートの字数を教えて下さい。

これは科目によって違ってくるのは当然ですし、字数を指定しているものと自由に書いたものを区別しませんでしたので、そもそもデータをとる意味がないようなものですが、他の科目でどのくらいの長さのレポートを書いているのか気になっていたのでした。

 500字…1名、600字…3名、700字…1名、800字…2名、

 1000字…1名、1200字…6名、1300字…1名、1500字…3名、

 2000字…5名、1200~2000字…1名、2000~2500字…1名、

 4000字…2名、6000字…1名

1200字や2000字、つまり原稿用紙3枚か5枚という指定が多かったようです。字数が自由の場合、10枚以上書く学生さんもいることがわかりました。

私自身の担当科目もそのようにしたのですが、A4用紙1枚(5名)、A4用紙3枚(2名)という、字数を指定していないものもありました。 

 

3.レポートの課題はどの程度負担になりましたか?

「負担ではなかった」という学生さんはおらず、「ある程度負担になった」「非常に負担だった」が共に7名(未記入1名)でした。

 

4.どのような点が負担になりましたか?

「面倒」「しんどい」という正直な?回答は、「字数が多い」「長い文章を書くのがしんどい」ということのようです。 コピペを防ぐためか、手書き指定や教室で試験形式で書くレポートがあり、パソコンに慣れた学生さんは書くことそのものが疲れるということでした。

「時間的に負担」「授業終了間際にまとめて課題が来る」「本数」といったスケジュールがキツイという声や、「授業内に記入しなくてはならない場合、時間が足りなかった」というのもありました。

どれくらい負担になるかは「課題に対する基礎知識・興味・情報がない場合、書き始めと結論が思いつかない」と科目によって違い、苦手な科目は「参考文献の内容が難しすぎるときがある」ので負担度は増すようです。

レポートの「書き方がわからない」というのは前期にそのための授業を担当した身としては非力さを思い知らされる感想です……。「何を書いたらよいか迷う」「自分の考えをどうアプローチしていくかに悩んだ」というのもありました。

「テーマに沿った内容を考えるのが大変」というのは「テーマが広すぎてなにをかけばいいのかわからなくなる」のかもしれません。後期はより実践的に字数に見合ったテーマの絞り方を取り上げようと思います。

 「字数が足りない」というのもありました。800字のレポートを提出した学生さんです。

 

5.レポートの書き方でよくわからない点があれば書いてください。

「始めと終わりの書き方」、特に「出だしに何を書けばいいのかわからなかった」。パソコンを使えば思いついた順に書くことが出来るのですが、教室試験の形での手書きレポートは困ったようです。

「引用の仕方」「具体的事例の持ち出し方」は、前期はちょうどSTAP細胞がらみのニュースが飛び交っていた時期だったこともあるでしょう。

表記面では「文字数の数え方」が気になるようです。「タイトルや副題も含むのか」「注や参考文献の字数は数えなくていいのか」といった即解決できる疑問の他に、パソコンを使って純粋に文字数だけをカウントしたものと400字詰め原稿用紙を単位として数える文字数の違いに戸惑う学生さんが多いのが目立ちます。原稿用紙の世代の担当教員が400字詰め原稿用紙5枚のつもりで2000字を指定しても、学生さんは文字数だけを数えているかもしれませんので、字数指定には注意が必要だと思いました。

「読点をどこで打つのか。文脈か息づかいか」「カッコの使い方」「どこで改行するか」というのもありました。

 

6.レポートの書き方で練習したい点があれば書いてください。

5.で「自分の意見の書き方」と書いた学生さんが「自分の意見と対立する意見にもそれぞれメリット・デメリットがある。意見を決めかねることが多い」ため「意見を決定する仕方」を練習したい点として書いていました。

「レポートの構成」「文章の流れ」は「トピックセンテンス」とも関連するようです。5.で「改行」と書いた学生さんが6.にも「改行」を書いていましたが、これも文章構成やトピックセンテンスと関わってくることのようです。

 

後期はレポートの課題として出される大きなテーマを細分化し、問題を絞って書く技術を取り上げようと思いました。どうも大きなテーマのまま格闘してよくわからないまま終わってしまったというケースが多いように見受けられました。

また、提出物をチェックするときに個別に朱を入れているのですが、表記上の具体的な約束事も取り上げる方がいいかもしれないと思いました。